一言感想
- 湯神くんには友達がいない
- (ゆがみくんにはともだちがいない)
- 全4巻 佐倉準
こんな変な気分になるコメディーコミックは初めて読みました。すべてのストーリーのオチにおいて腑に落ちません。というか若干の苛立ちを覚えるほどの性格の変な主人公で屁理屈屋というかこの年頃ならではの性格なのか、こんな性格の人とは知り合いになりたくないです。
面白いところ。
主人公湯神裕二(ゆがみゆうじ)のクラスメイトで転校してきた隣の席の綿貫(わたぬき)ちひろがものすごくふりまわされるとこが一番面白いと思います。本人いわく「なかなか友達が出来ない」そうですがそこまで積極的に行動しているようには見えません。それに変な人だと思いつつなぜ湯神に構うのか理解できないです。関われば関わるほど不孝になっていく様子を見ていると不憫に思いますがそこが面白いです。
好きなところ。
湯神本人に人望は皆無ですが、周囲の関わらざるを得なくなった人間がお人よしなので、彼らが協力して乗り越えていくのを見ているのは青春さがあって好きです。私は湯神のような人間は大嫌いなので思考を理解することはできませんが、彼はもっと周囲の人間に感謝すべきだと思います。
好きなキャラ。
湯神のクラスメイトで野球部のマネージャーの久住若奈(くすみわかな)です。登場人物の中で基本的に湯神のフォローをしないし、信用もしていないようなので好感をもてます。どう考えても自分から混乱に巻き込まれている綿貫のことを援護したりするのはちょっとどうかと思いますが、友人としてなら見放せないししかないのかなと思います。
好きなエピソード。
湯神にラブレターを送った藤沢梨緒(ふじさわりお)と湯神が放課後にデートする話です。私はこのエピソードではっきり湯神のことが嫌いになりました。内心ものすごくうれしいくせに迷惑そうにするところが不快だし第一、一切の誠意がない。こういう不誠実なのは許されないです。湯神のこの一連の行動のおかげで他に出てくる登場人物4人が好きになりました。
おすすめ。
こんなマンガは読んだことがないです。ブラックコメディーでも完全なギャグでもなく、新感覚でした。でも主人公の人間性は最低なので人を選ぶと思います。
作品に関する思い出。
サンデーでちらっとみたときに面白そうだなと思って単行本購入しました。読破してみると色々な意味で予想外でしたが、面白かったです。
作者に関して。
こんなひねくれた主人公を描く作者はさぞ卑屈だろうなと思いましたが、あとがきを見る限りすごく真剣に取り組んでいて驚きました。「じわじわと延命されて」との事だったのでこんな変な主人公なのに読んでいる人がたくさんいるんだと思いましたが、ぜひ打ち切りにならずがんばって最後まで続いて欲しいです、続きが気になります。
その他。
単行本カバーの裏におまけマンガがありました。OVAみたいで面白かったのでぜひ購入して読んで欲しいです。