ジャンプ部屋ブログ

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感想・書評「優駿:宮本輝」ネタバレ注意・競走馬オラシオンをめぐる軌跡(レビュー)。 #読書


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優駿 宮本輝 競走馬オラシオンをめぐる軌跡

久しぶりに小説らしい小説を読んだ。話にどんどん引き込まれていく。若者の夢、馬主、競馬に関わる人物を魅力的に描いている。巨大な牧場を経営する者、胡散臭い調教師、騎手や賭け事、いろんなことが重なりあっている。

祈りという意味のオラシオンと名前がついた馬をめぐる物語である。オラシオンの誕生に立ち会う牧場家族と馬主の息子。生々しく自然の偉大さを伝える描写が素晴らしい。馬の系統や特長を計算して掛け合わせて強い競走馬を産ませることは、遺伝子組み換えをアナログでしているようで、あまり気持ちの良いものではない。果物かよ!と思ってしまう。

いちばん魅力的なのは、馬主であり、経営者である和具平八郎だ。昭和の社長で個人で馬を持っており、人生と馬のこと、家族のこと(妻のことはあまり考えてないようだが)、妾の息子のこと、秘書など。憎くないけど赦さないというのは人間の本質をついていると思う。オラシオンが誕生し、ダービーの夢をみる経営者と牧場の家族。あわい恋心。牧場の息子が日々、馬に話しかけたり、川に祈ったりしてるのがとても自然に感じた。また北海道の大自然がとても心地よく、荒涼のなにもないはずの土地なのに行ってみたくなる。