「黒伯爵は星を愛でる」9巻 音久無・著
ギルモア侯爵が何者かに毒を盛られて瀕死の状態になり、犯人だと疑われたレオンは牢に入れられてしまいます。レオンを救い出すべくエスターがエヴァと女二人で奮闘する様子は、手に汗握る展開ながらもどこか可愛らしく感じました。
エヴァが肝のすわったタイプなのも好感が持てましたし、クリスのことを信じたいのはみんな一緒なんですよね。情と憎しみの両方混ざった複雑な感情をクリスに抱き続けてきたレオンも、この一件で気持ちの整理がついたのではないでしょうか。絶体絶命なのに「敵の施しなど受けて堪るか」と食事を拒否したレオンをしかりつけたエスターが、とてもかっこよく見えました。
そして、黒幕のアーサーが提示してきた条件をのんだふりをしたエスターの、上から目線の目つきが印象的でした。エスターはいつも少女のように笑っているイメージが強いので、演技とはいえこういう表情にはドキリとしますね。
また、ラストで形勢逆転したレオンの顔があまりに美しくて、思わず見入ってしまいました。