「海月と私」4巻 麻生みこと・著
ついに最終巻です。こつぜんと姿を消してしまった梢さん。彼女の素性は知れず嘘で固められていたことを知りつつも、なんと旦那さんは宿を一週間閉めてまで探しに行くことにしたのでした。
旦那さんをそこまでの行動に駆り立ててしまう梢さんは、やはりただ者ではないですね。前巻までの流れからして、やはり梢さんは旦那さんの娘なのかと想像していましたが、予想外の展開にびっくりしました。灯台下暗しとはこのことでしょうか。いずれにしても旦那さんの完璧なまでの部外者っぷりがいっそ哀れに思えるほどで、その事実に膝をついてがっくりする姿が気の毒でした。
最後にどのようにオチをつけるのかと思っていたら、クライマックスでなんと梢さんが竹本の秘書に連れ去られてしまった展開には驚きました。少し駆け足すぎるようにも感じましたが、期待通りの素敵な終わり方で良かったです。できればその後の物語も読んでみたかったと思うのは無粋でしょうか。ゆるい空気と透明感のあふれる素晴らしい作品でした。