寄稿を頂きました。
スティール・ボール・ラン
ジョジョの奇妙な冒険の、第七部として知られるスティール・ボール・ランですが、私はとにかく主人公のジョニィとジャイロの二人旅が、このうえなく好きです。幾人もの思惑や意志がぶつかり合う話ですが、二人の友情、日常が、とても胸に染みます。いつ死んでもおかしくない過酷な戦い、旅の中でも、二人は冗談を言い合い、熱いコーヒーを飲み、笑い合っています。そうしたありふれたことがあるからこそ、二人はまるで生きているかのように見えます。
物語の終盤に、強大な敵と戦うその直前二人は、自らが隠していること、恥ずかしいと思っていることを分かち合います。お互い打ち明けたことは相応に恥ずかしく、笑ってしまうようなことなのですが、お互いそれを胸に秘め、戦いに挑みます。それまでの戦いの激しさ、敵の強大さを目前にしたそのシーンは、コミカルに描かれているはずなのに、思わず涙ぐんでしまうほど、二人の覚悟を感じることが出来ます。