一言感想
ちょっと鈍くさい主人公が素直でとってもカワイイ、シンデレラストーリーです。恋をすると途端に変わる女の人の繊細な感じがとても好きです。青春時代にはない、様々な迷いや不安があってほろ苦いこともある大人と初めての恋人に戸惑う甘酸っぱさがいいと思います。
面白いところ。
読み始めのころは主人公の青石花笑(あおいしはなえ)が彼氏の田之倉悠斗(たのくらゆうと)と付き合っているのに信じず、他の男にどきどきしたり二人っきりで食事にいたりしてその浮ついた感じに苛つきました。田之倉の方がきちんと青石を理解、信頼しているのでカップルの形はそれぞれだ、とハッとさせられました。気持ちを深読みするともやもやしますがこういう愛の形なんだと割り切って読むと面白いです。
好きなところ。
恋人が出来た途端に会社に綺麗な格好をしていく描写がすごく好きです。女の人は恋をすると綺麗になるといいますが、言葉通りだと思います。付き合っている男性にもよるのですが、「彼に少しでも綺麗に見られたい」と思うことのなんて素敵なことか!それと、変化した青石にちゃんと気がついて褒める田之倉も素敵です。
好きなキャラ。
青石の彼氏、田之倉悠斗です。以前は恋愛経験豊富で女の人なんか面倒、と思っていたようですが青石には誠実で、過去は「めんどくさい人は嫌だ」というとても合理的に恋愛をしてきたようなシーンが垣間見えます。「思っていることを伝えて離れていくのなら、まあその程度の恋愛」というスタンスなのがとても好印象です。
好きなエピソード。
青石と田之倉が同棲を考え、新居を二人で探すというエピソードです。この二人は結局まだ早いという結論になり半同棲のような形になるのですが、私も同棲する際の新居探しはすごく楽しかったのを覚えています。特にこのシーンが好きというのはないのですが話が進んでいくにつれて懐かしく愛しくなったのでこのエピソードが好きです。
おすすめ。
集英社さんの「集英社マンガネット」というホームページで試し読みが出来ます。内容はあらすじ通りですが綺麗なイラストで見ると数倍単行本で購入したくなるので一度試し読みするのをおすすめします。
作品に関する思い出。
帯に「33歳処女、独身」と描いてあって独身を謳歌している系のストーリーかと思って購入したのですが読んでみるとありえないくらいのシチュエーションで面喰いました。
作者に関して。
藤村さんの作品は今回この作品で始めって知りました。インタビューで「学園ものや10代の少年少女たちが登場する作品との違いは?」と聞かれて「結婚の重みです」と答えていたので読み終えて納得しました。
その他。
他にもかなり多くの単行本を出版していらっしゃるのでそちらも気になります。