感想
まるで宝石箱の中を覗き込んでいるかのような錯覚に陥る、夢をみているかのように美しい作品です。ゴエティメア王国第一王女のオリガは魔法が大好き。オリガの夫の候補者である男たちに「魔法の宝物」を持ってくるように無理難題を持ちかけ、結婚を引き延ばしていました。
ある日、魔法の宝物の金のサークレットを頭にはめたオリガ。すると次の瞬間異世界に移動し、褐色の肌の美しい少女、アベドに出会います。第一巻ではアベドが結婚するところで終わるのですが、どうも乱暴をされているようにしか見えず、怖いなと正直思いました。
最後、あかない箱は開いたのか、これからの展開がかなり楽しみです。彼女は女王なのか、まだ姫である身なのかわ分かりませんが、どうも、アベド事を守ってくれるような存在はいないように見えます。それゆえ彼女がとても芯の強い、でもとても儚いような少女に見えるのがなんとも切ないです。アベドの世界ではいつでも星や月が輝く美しい夜で、その感じがなんとも綺麗でアラビアンナイトを連想させます。
同じくらいの年の、違う国の姫、同じ政略結婚をさせられる身であり、違う次元を生きるもの同士。この相対的な世界同士が互いに美しさを引き出していて、もう本当に星野リリィさん大好きです。それに、題名が「夢見る古都」だなんて、なんて乙女チックなのかしらとうっとりしてしまいます。