「豚飼い王子と100回のキス」 海野つなみ・著
アンデルセン童話の「豚飼い王子」を現代風にアレンジした漫画です。
子どもの頃から読書好きだった私は様々な童話を読んできましたが、海外の作品は特に、けっこう残酷で悲惨すぎる終わり方のものが多いように感じます。幼少期に純真な心で読むと、それこそトラウマになりかねないような内容のものもありますよね。この「豚飼い王子」もその一つです。
貧乏な王子が皇帝の姫君に求婚するのですが、大切なバラや大事に育てた小鳥をプレゼントするもその価値を理解してもらえず、会うことも叶いませんでした。あきらめきれない王子は、豚飼いになりすまして姫に近づきます。おもちゃにつられて簡単にキスを許した姫を軽蔑した王子は、皇帝に勘当された姫に向かって「報いを受けよ」と突き放して別れを告げたのでした。
なんとも後味の悪いラストですが、この漫画では姫が王子の真意を理解して最終的に二人は結ばれる、というハッピーエンドになっていて、救われた気持ちになりました。王子が最新式のタブレット端末や宅急便を利用しているのもユニークで面白く、名作に触れるきっかけにもなる興味深い一冊でした。