スカイ・クロラ、森博嗣、シンプルで複雑な小説
表紙カバーがめちゃくちゃキレイな本というイメージしかなかったのですが、最近、「すべてがFになる」を読んでから森博嗣さんにハマってしまって、ついに手を出しました。表紙と帯広告からの勝手な先入観で、もっとカジュアルでシンプルな小説だと思っていたのですが、実はなかなか複雑な小説でした。
こことは別の世界が舞台、そこではキルドレと呼ばれる永遠に大人にならない子どもたちが戦闘パイロットとなり、淡々と戦争が行われているというのがベースの話です。その世界で新しく部隊に配属された主人公の日常が、取り巻く人間関係とともに描かれていきます。と思いながら読んでいたのですが、途中で、んん?と何度も読み返すことになりました。おそらくそんなに単純な話ではなさそうなんですね。私が思うに、森博嗣さんがお得意とするジャンル、多重人格の話でもありそうです。一見、メルヘンで刹那的なストーリーにみせながら、そんなトリックを仕込んでいるとは。なかなか読みごたえがありました。このスカイ・クロラは連作シリーズの中の一篇であるので、今後、シリーズ内の小説を読み進めていきたいと思っています。