真田十勇士 著者:松尾清貴 真田幸村は本当に腰抜けなのか
映画の製作に合わせて出版された小説版です。映画では、「あの真田幸村は腰抜けだった」というのが一つの売りになっていましたが、小説版を見る限りそれぼど腰抜けであったように思えません。世間が持ち上げるほどの名将ではないかもしれませんが、物事を客観的に見て語る様は世捨て人然とした捨て鉢なものもあるのでしょうがそれなりの才があるように思えます。
不幸があるとすれば、幸村自身が「真田幸村」というブランドに見合った才覚がないことを理解するくらいには才能があったということでしょうか。もっとぼんくらだったり想像力がない人間なら出来上がっている名声を利用することを考えると思います。ただ、何でも一人でやる必要もなかったとも思います。実際に作中では猿飛佐助の策を用いることで真田幸村は名実ともに名将となることができました。有能な部下を活かすことも、本来の名将の才覚の一つといえるのではないでしょうか。そう考えると真田幸村はやはり大した侍であったと思います。