MW(ムウ) 手塚治虫 漫画の神様はやっぱり天才です。
黒の手塚治虫シリーズに入る作品です。手塚治虫の作品は鉄腕アトム、ジャングル大帝、リボンの騎士等の子供向け作品が有名ですが、この作品は完全に大人向けの作品です。この作品には殺戮、同性愛、政治、戦争の描写が含まれています。
ある島で起きた架空の事故によって冷酷な人間になってしまった男性と同時に事故にあった牧師を中心に物語が進められます。この漫画を読むと地下鉄サリン事件を予言していたかのような作者の想像力、構成力に圧倒されました。読後は後味のわるい感覚が残りますが、考えさせられることも多い作品です。不安の多い今の時代に十分にマッチした作品で古さは全く感じさせません。数年前に玉木宏、山田孝之らの出演で映画化もされましたが、美しくまとめられていたので、この作品の世界観を表現するには不十分だったと思われます。漫画のほうが断然おすすめです。架空の話ではありますが、作者がまるで現代社会を予言していたかのような作品です。特に、ブラックジャックの世界観が好きな方はきっと気に入ると思います。