「美食探偵 明智五郎」3巻 東村アキコ・著
料理好きのおとなしい主婦が、毎週義理の母から送られてくる大量の煮物に苦しめられるというストーリーでした。料理にこだわりを持つ人にとってはキッチンは自分の聖域で、そこへ土足で踏み込まれるのは耐えがたい苦痛なのではないでしょうか。
真っ白な最新式の大型冷蔵庫が、自分の思い描いていた理想の食生活とは違った方向へ使われていく様子が恐ろしくて、ここまで読み進めてきて一番ゾッとしたエピソードでした。サスペンス色がこれまでよりさらに強くなり、もはやホラーと言ってもいい展開にびっくりです。
悩んだ主婦のみどりがネット上で相談を持ち掛けたことで登場したマリアさん。さらにマリアさんがよこした助っ人として、前回犯人だったシェフが現れたのにはドキリとさせられました。今回は明智さんは見事なまでに完敗でしたね。明智さんとマリアさんは最後の最後ではどんな風に再会するのか、予測がつかないので今後の展開が楽しみです。
また、小林一号の苺柄ワンピースをめぐる話は面白く読みました。実は恋心に似た感情を明智さんに抱いている苺さんが、なんだか可愛らしく見えました。