一子相伝の北斗神拳の中にあって、柔の拳の使い手のトキ。本来であれば、剛の拳の使い手のラオウやケンシロウよりも北斗神拳の伝承者としてふさわしい拳の達人であり、人格の持ち主であったはずなのに、ケンシロウやユリアを守るために自らの身を犠牲にして核に被爆してしまう。
体が核に蝕まれていなければ、ラオウやケンシロウよりも強かったかもしれないところが悲運さを感じさせる。そんなトキの強さや優しさが私は大好きでした。トキは、北斗神拳を戦いの道具としてではなく、医療行為の一つとして病人の治療に用いているところもトキの優しさが出ていて好きでした。また、トキの手にかかると、秘孔を突かれたものは痛みを全く感じずにむしろ快楽を感じながら死んでいくという拳の使い手であるところもトキの人柄がにじみ出ていて好きでした。最後は、病に倒れて死んでしまうのですが、トキがもし核に被爆していなければ、北斗神拳は変わっていただろうなと感じてしまうのです。