『女侠客 小町のお染』(玉田玉秀斎):女侠客の痛快な活躍
度胸と美貌を兼ね備えたヒロインが喧嘩っ早くて頭が回らない子分と一緒に全国各地を駆け回り、弱気を助け強気を挫く。こんな現代的なキャラクターとストーリーがすでに明治時代には登場していたのです。それが『女侠客 小町のお染』です。
敵討ちのために諸国をめぐるお染は様々なトラブルや災難に遭遇しますが、あらゆる武術を修めた腕前と持ち前の機転を利かせて難局を次々と乗り切っていきます。現代小説からするとご都合展開で筋書きが甘いと思える部分もありますが、胸がスカッとする展開と常に弱い者への思いやりを忘れないヒロイン・お染の活躍に胸を踊らせること間違いありません。解説によればお染のモデルとなった人物は複数人いたとされていて、いかに江戸時代・明治時代の人が庶民のヒーローとなる女侠客を愛していたかを知ることができます。今ではほとんど聞くことがなくなった女侠客の活躍を楽しんでみてはいかがでしょうか?現代語訳がされているので誰でもスラスラ読むことができるのもうれしいところです。