感想
歴史上の人物であるジャンヌ・ダルクについての歴史小説の漫画版です。珍しいなと思ったのが、ジャンヌ・ダルク目線ではなく、他人からの目線で描かれているところです。主人公ピエールはドゥ・ラ・フルト家という大貴族の私生児として生まれます。
アザングールの戦いという戦争で父と生き別れ、傭兵部隊に加わり、その部隊の隊長を殺したことによって「傭兵隊長(シェフ)殺しのピエール」という通り名になります。略奪、殺人、強姦、人身売買など極悪非道の限りを尽くしていた彼はある日ラ・ピュセルという乙女に出会います。
このラ・ピュセルこそがジャンヌ・ダルクなのです。物語の進み方は非常にわかりやすく、フランス史なんかにまったく興味がなくとも楽しめます。ただ、描いている時代と青年誌ということもあり、妊婦である私からすると非常に不快な気分になる描写も多く、途中でなんども腹が立ちました。でも実際はここに描かれているよりはもっともっと悲惨で乱暴で不衛生だったのでしょう。
現代の日本人である私だって抵抗力が落ちれば悲惨なるのによく人類は殺し合ったり略奪し合って生き残ってこられたなと思います。当時の鎧や武器などもこんなふうだったのでしょうか。それならばジャンヌ・ダルクという女性はものすごく筋肉があったのでしょう、すべての武器防具が重たそうに見えます。神様に言われてあの戦争を勝ち抜いたようですが、どの神がどの口で正義の名のもとに殺しをして争えと言ったのでしょうか。やっぱりよくわからないです。