『「身の丈起業」のすすめ』(一橋総合研究所):いい仕事とは何か
やたらと起業が叫ばれる現代。しかし、起業を唱える人の多くがセミナーや自己啓発を生業とし、「起業」の言葉で釣られるカモを待っている状況です。そんな中、『「身の丈起業」のすすめ』はサラリーマンだけにこだわるリスクを防ぐため、自分の身の丈にあった起業をして、自分なりの「いい仕事」をしようと提唱しています。
起業から上場までのステップと予想される問題・悩みを時系列で説明しているため、起業したいという人から起業した人まで、幅広いニーズに対応する1冊です。また本書の肝は「いい仕事」をやりがいを感じられる仕事と定義していることです。そして、仕事のやりがいとは「やっていて楽しいこと」であり、何かに付加価値をつけることであって、報酬の多寡ではないと言い切ります。そして、いかに金銭を得ても、実感の伴わないバーチャルなやり取りで仕事のやりがいは見つからないと断言しています。本書に込められたメッセージは、仕事と生き方で悩む現代人への処方箋のように思います。自分なりの「いい仕事」をしたい人は必読です。