「海月と私」2巻 麻生みこと・著
田舎の海沿いにあるひなびてこぢんまりとした佇まいの宿、とびうお荘。寡黙な旦那さんの元に突然現れて仲居として住み着いてしまった謎の女性、梢ですが、彼女の素性が少しずつ明らかになることを期待しつつ読み進めました。
テレビの取材がやって来てもカメラに映るのを断固拒否する姿勢は、なんとも怪しいですよね。旦那さんもうさん臭さを感じてはいるものの、でも何も言い出せないまま結局は梢のいいように転がされていて、見ていて少しやきもきしてしまいました。
一番印象に残ったのは、家出してきた老舗旅館のお嬢様を一晩とびうお荘におくことにするエピソードです。一見すると周りからはうらやましがられるような境遇の人でも、その人にしか分からない苦悩を抱えていたりするわけで、こういうのはもう生きてる限り誰しも逃れられないのでしょうね。理不尽なことにも真っ向から対処できる強い人間になりたい、いやなってやると思えてきて勇気をもらいました。
そして肝心の梢の正体は何やら不穏な雰囲気で、続きが気になる展開でした。