寄稿をいただきました。
幽々白書(ゆうゆうはくしょ)
現在少年ジャンプで連載中のハンターハンターの作者・冨樫義博氏のデビュー作である。
この漫画は全19巻で連載終了となり、一部連作扱いで完結しているが、実質的に大きく3つのストーリー展開があるとみられる。
第一部は探偵編、第二部は武術会編、第三部は魔界編と個人的にはみているが、個人的には3部の魔界編が最も好きである。
この魔界編は武術会以降のストーリーと考えているが、中でも仙水忍の描写は面白い。多重人格で潔癖症で何と言っても天性の才能の持ち主というところが非凡な才能にもかかわらず人間くさく映共感を呼ぶところがある。
人が人を殺める理由に善と悪が必ずあり、自分は善のために戦うという信念が覆されたときに、自分の存在を全否定してしまう。それがどんな多彩な才能に恵まれていても・・・、という人間の心理が極端な暴走に走らせてしまった仙水の人格は非常に強い作者のメッセージを感じさせる。