寄稿を頂きました。
少年ジャンプの思い出
少年ジャンプで始めにはまって読んだのは『キャプテン翼』。その頃は、まだJリーグもなくて、男の子もサッカーよりは野球を楽しそうにしていた。サッカーがだんだん流行ってきても、私の周りには誰もまだオーバーヘッドキックとか、アクロバティックな技を決める人はいなくて、あんなこと本当に人間ができるんだろうか、と毎回驚きながら読んでいた。漫画の中で、翼くんや岬くんがしているようにサッカーボールを蹴ってみるけど、さっぱり迫力がなくてしょんぼりしたのを覚えている。
それでも毎週、少年ジャンプの発売日には次の展開にドキドキしながら本屋さんへ行ったものだ。運動音痴の私の目標はいつかオーバーヘッドキックを決めてみたいから、いつのまにか実際にオーバーヘッドキックをこの目で見てみたい、に変わっていた。そして、サッカーの試合をテレビで観た時、その瞬間はやってきた。けれども、実際の試合では、漫画での臨場感や迫力がなくてがっかりだった。大人になった今では、漫画と実際の世界を区別できるからそんな風に思うこともなくなったが、子どもの頃に読む少年ジャンプはそんな魔法の時間の宝庫だったと思う。