カノジョは嘘を愛しすぎてる15巻について
漫画「カノジョは嘘を愛しすぎてる15巻」について。音楽業界を舞台に人間ドラマ、恋愛を描いている作品です。この漫画の見所は少女漫画なのですがよくある王道のラブストーリーではないことです。従来の少女漫画とはひと味違うテイストだと思います。とにかく主人公のリコがかっこいいです。見た目は可愛らしいのですが中身がたくましく男らしい性格をしています。 反対に恋仲のアキは男なのに可愛らしい人です。そこも今までにないストーリーで好きです。
さて、そろそろ15巻についてお話しします。この巻では前巻以上にストーリーが急展開します。主人公のリコにとって苦渋の選択が出される訳ですが、今まで音楽を楽しいという気持ちだけでやってきたリコにとってとても厳しい選択になります。 以前からこの漫画を読んでいて思っていたことなのですが、なんだか音楽業界の裏の部分が垣間みえて怖いです。この巻ではとくに業界のそういった表にみえない部分がみえてくるので読んでいてどんどん重くのしかかるものがあります。ですがそれはよりリアルに描いてくれているということで、漫画だからと綺麗事で描かない作者の方の意向がみえてきます。いろんな音楽業界を舞台にした作品をみてきましたがこれほどリアルに描いた作品を読んだのは初めてです。
様々なところで急展開をする15巻ですが、この巻では人の思いについても少しずつ変化していきます。とくに私が気になったのは心也の思いです。以前から自分に自信がなくアキの才能を認めると同時に嫉妬していた彼ですが、アキの曲をリコが歌い成功したことでアキに褒める発言をします。嫉妬の気持ちがある一方で認めざるおえない才能に複雑な心境なはずです。きっと自分の中で葛藤した上での発言でしょう。そんなことを思うと読んでいて切ない気持ちになりました。 また、最後の方のリコがアキに詰め寄るシーンはとても意外でした。今まで自分の気持ちを素直に言わなかった彼女がアキに好きとはっきり口にしました。顔を真っ赤にしながら言ったその姿はとても可愛らしかったです。
今回は表舞台に立ったことで少しずつ選択を迫られるリコと少しずつ変化していく人の思いがとても印象的でした。次巻もリコや登場人物の行く末を見守りながら読んでいきたいです。