よんでますよ、アザゼルさん 1~10刊
よんでますよ、アザザルさんはギャグ漫画です。わたしは他人にギャグ漫画を勧めることはあまりないのですが、本作のよいところは誰が読んでも内容がよくわかることです。
最近のギャグ漫画は、「シュール」を免罪符に感性のあう人にしか通用しない笑い…というか、読者を選ぶ作品も少なくありません。本作「アザゼルさん」は、悪魔という非常にメルヘンな題材を取り扱っておきながら、徹底したリアリズム溢れる世知辛さの温度差による、現代的な笑い、そして苛烈で下品なシナリオ(失礼)馬鹿馬鹿しい笑いを私達に提供してくれます。
本作には過剰に熱血なキャラクターが存在しません。
半端な良心と、めんどくささの同居する葛藤などは、「俺ならそうするかも。わかるなぁ」といつ不思議な説得力を持ちます。
無気力、閉塞感、優越感、メンヘラ等々、様々な現代人っぽい悪魔たちに、読者たちは自然とページをめくってしまうでしょう。
悪魔の話なので、天使が敵役として登場しますが、その抗争のはてに、たまにホロリとするエピソードが……と、おもいきや、やはりまたも落とされる下品な爆弾に大爆笑。
なにも考えず、毒のない笑いを楽しみたい人には最適です。