3位「いちえふ」
福島第一原子力発電所の作業員として実際に働いた作者が、その通称「いちえふ」での仕事や作業員たちの生活、現実について淡々と描いた漫画です。作者は売れない漫画家で、実際に生活のためもあって原発作業員になったということですが、特に思想的な背景などもなく、偏りなどもなく、ただ普通に普通の作業員の日常を描いているところが、却って迫力を感じさせました。原発の現実というものが、ある意味ごくありふれた日常であることが分かり、興味深いです。
2位「チェーザレ」
ルネサンス期イタリアを舞台にした歴史ものの漫画です。主人公は歴史上では悪人としても魅力的な君主としても知られるチェーザレ・ボルジアです。豪華王ロレンツォ・デ・メディチや、後の法王レオ10世となるメディチ家の次男ジョヴァンニ、チェーザレの妹ルクレツィア、サヴォナローラ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、コロンブス、ミケランジェロといった、歴史上の実在の人物がたくさん出てきて、それぞれにとても魅力的に描かれていて面白いです。チェーザレの側近ドン・ミケロットもとてもかっこよくて惚れてしまいました。
1位「ヴィンランド・サガ」
ヴァイキングの時代を舞台としたヴァイキングの漫画です。この時代については資料も少ないだろうし、時代考証が大変だっただろうと思うのですが、しっかりとした世界が描かれていて、理想郷であるヴィンランド(アメリカ大陸)に新世界を作るという理想など、テーマがぶれないので気持ち良いです。歴史上の実在の人物であるクヌート王がとても魅力的なキャラクターに描かれていて、彼の出てくる場面は特に熱心に読んでしまいました。かなり男っぽさを感じさせる漫画です。