3月のライオン(8巻)/羽海野チカ いじめを受けて転校したちほちゃんの近況がわかって嬉しかった
8巻はとても見どころが多かったと思います。
まず零と宗谷の対局。
普段対局中は両者がモノローグによって心情を語ることが多いのですが、宗谷に関してはそれが「ない」んですよね。
序盤に善戦していたかと思われた零の「あっという間に終わってしまった」描写が見事でした。
いつも何を考えているのかわからない、謎に包まれた人物というイメージが強い宗谷ですが、対局後に零が宗谷と行動を共にしたことで宗谷の「ある秘密」が明らかになります。
その背景にはいったい何があったのか...続きが気になります。
反対に、島田とベテラン棋士・柳原の対局では、柳原の心情がこれでもかというぐらい深く描かれていました。
次々と棋界を去っていく仲間、自身の老いとの戦い、棋士としてのプレッシャー...。
話の合間のコラムにも載っていましたが、将棋は頭を使うこととはいえ、実は対局が何時間にも及ぶことはザラで、体力も必要になってくるんですよね。
そういう意味では、棋士も立派なアスリートなのだと思いました。
最後に載っていたのは、三日月堂のお祭りのエピソード。
対局のシーンがかなり長く続いていたので癒されました(笑)
ここで一つ驚いたことが。
5巻でいじめに遭い転校してしまったひなたの同級生・ちほちゃんのエピソードが語られるのです!
いじめのエピソードは読んでいてとても心が痛かったので、ちほちゃんの近況を知ることができたのはとても嬉しいことでした。
漫画の中でも描かれていたように、いじめのトラウマから抜け出すのは簡単なことではありません。
でもゆっくりでもいいから、ちほちゃんが新しい環境で一歩を踏み出していけたら...。
そう思わずにはいられませんでした。
ひなたが次に会いに行く頃には、より元気になったちほちゃんが描かれていたら嬉しいな。
そんな色々あった8巻でした。
次巻はどんなキャラの、どんなエピソードが語られるのでしょうか。
9巻も楽しみです!