「美食探偵 明智五郎」2巻 東村アキコ・著
老舗フレンチレストランを現代の東京でやっていくことの難しさを描いた一冊でした。
確かに、リーズナブルな立ち食いフレンチのお店がすぐ近くにできてしまったら、それこそ死活問題ですよね。目新しいものに飛びつく人は多いでしょうし、ジーンズなどの軽装で気軽に行けるのもポイントが高いと感じます。
日本人の口に合わせてアレンジしたりせず、パリで提供されているそのままのレシピというのが、はたしてどんな味なのか食べてみたいとは思いました。でもリピーターを確保するのは難しいのでしょうね。加えて、昨今は少し異様に見えるくらいみんなスマホで食べ物の写真を撮っていますよね。素人がグルメサイトを使い匿名でお店の評価をすることができてしまう時代に、振り回されるシェフの気持ちを考えたらとても複雑です。
そんなシェフがマリアさんとつながっていたと判明するくだりは、予想通りとはいえゾッとしました。シリアスなストーリーの中で、小林一号の見事な変装が思わずクスッと笑えて面白かったです。