この番組は動物の生態を調査し紹介する番組であるが、なんとこの番組自体で5年間生態を調査し続けたワオキツネザルがいるのである。その中でも特に注目してほしい3匹を仮にA、B、Cと名付けておく。
ワオキツネザルは基本6、7匹ぐらいの数だったかその数で1つ群れを作り、A、B、Cは同じグループに属していた。AとCは仲が良いが、Bがある日自分の子をなくしてしまい、代わりといってはなんだがCの子の相手をするようになり、AはCと接触できずに孤立してしまう。そして孤立してしまったAはBから群れから追い出されてしまうのである。私はこれを自分に置き換えてAに対しやるせない気持ちになってしまった。しかもこの後恐ろしい事に、他の群れに入ろうとするAは断られてしまうのだが、同じワオキツネザルなのにとても見るに可哀想でたまらない入ろうとした群れがAを縄張りから追い出そうと集団で襲うのである。この映像をみて涙が出た。涙を皮肉にも感動する場面よりも悲しい場面で流すことが多い私である。こんな光景は見てられない、そう思った矢先、AはB、Cたちのいる群れに近づいてくる。するとAが真っ先に近づいたのは仲良しだったCなのであった。BもまたCに免じて群れに戻ることを許し、元のさやに納まったのであった。この番組は30分だけの短い番組だが、私はその時間この番組だけに心を動かされていた。そしてまたワオキツネザルの生態を、悲しい展開を受け止めながら感動のラストを迎えるこの番組をもう一度やることをひそかに願っておこう。