一言感想
- 原作/金成陽三郎 漫画/さとうふみや
- 復讐の連鎖を生んだ悲しいお話です。
面白いところ。
ある日ひょんなことから、一が以前に関わった「悲恋湖殺人事件」で死亡したはずの犯人・遠野英治(とおのえいじ)が生存していることが判明。
事実を確かめるため、一たちは遠野がいる金沢を訪れます。
そこはたくさんの蝶を保有している班目家。
そんな中、幻の蝶をお披露目するパーティーの最中に一たちは目当ての遠野と出会うのですが、遠野は自分を深山と名乗り一たちのことを覚えていない様子でした。
忘れたふりをしているのか、本当に別人なのかどっちなんだろうと思っていると、三女のるり・長女の舘羽(たては)が立て続けに殺され…。
幼いるりちゃんが殺されたのにも胸が痛みましたが、犯人の小野寺の気持ちや母・緑の心境や生き方を考えると、それもまた悲しいなとやりきれない思いになりました。
小野寺の、愛する人に裏切られたと苦しんで死んだ父・須賀のためにした復讐も、研究を横取りされ死を選んだ須賀のために人生をかけた緑の復讐も、同じ人のための復讐がすれ違った、何とも言えない後味の悪さでした。
一たちの目当てであった遠野は、妹を失ったこと、人を殺したことすべてを忘れて1から新しい幸せをつかめたのは素直に良かったと思いました。
忘れたとはいえ人を殺したことは許されることではないですが、命を狙われ姉妹を亡くし死の恐怖におびえる揚羽を守ろうとしたところも、揚羽との結婚式も、感情や表情の描写も絵もとてもきれいですごく良かったです。
家族を殺され、母や小野寺が死んだことも本当に残念な結果でしたが、2人が幸せになれればいいなと思いました。